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INFO:
「お母さん今日の参観来ないでね」 「なんで?」 「恥ずかしいしマジで来なくていいとりあえずこないでね」 そんな言葉を吐いて玄関の扉を開けた。 今日は中学三年生最後の授業参観だった。私のお母さんは、少し歳をとっていている。 挙句に服装なんてきにしないで職場の服で来るから、友達や好きな人に見られるのが恥ずかしかった。 「なあ今日お母さんくる?」 友達が聞いてきた 「来るわけないやん笑来て欲しくもないし今日の朝言ってきたわ笑」 「それな笑マジで来て欲しくないよな」 友達は共感するように、私に指をさしながら笑っていた。 「皆さん今日は参観ですが緊張しないでちゃんと授業をうけるように」 参観が始まった。まぁ私には関係ない事だ。 お母さんは来ないし、お父さんはいないから安心して授業に受けれる。 「ねぇ」 友達が小声で話しかけてきた。またいつもの手紙交換だと思って、ニヤニヤしながら振り向いたら 「あれさお母さんじゃないん!?きてるやん!」 「え、?笑」 振り向くと、そこには呑気に動画を撮って、アホみたいな顔をしたお母さんがいた。 「は?笑なんできてるん笑きも最悪なんだけど」 友達に愚痴をこぼして、お母さんの顔を見てイラついた。今日の朝来るなって言ったのに、なんで来たんほんまに最悪。私は授業に集中できずずっとイライラしていた。 「おーい清水さんお母さんが気になるのは分かるけど授業に集中しましょうね」 「あ、はい」 怒られた。本当に最悪だ。後ろからお母さんの笑い声が聞こえる。気持ち悪い友達も好きな人も私のお母さんを見て笑ってるように感じた。恥ずかしい。授業を抜け出したい。全部お母さんのせい。 授業が終わるとお母さんはもういなかった。 私は早足で帰って、家に入り思いっきり部屋のドアを閉めた。 「みさき!おかえ、、」 黙れ話すな気持ち悪いなんでそんな呑気に話しかけてこれる???こんなに恥ずかしい思いをした私の気持ち分からないくせに。 階段を上がる音がしたが、イライラしていた物に当たっていたら次第に階段を上がる音がしなくなって戻って行ったんだと思った。 夜ご飯の時間。私はイライラが少し治まったのでお兄ちゃんに呼ばれ、リビングに行った。 「みさきごめんねお母さん行きたかったんだ!あとね言いたいことがあるんだけど」 「うるさい」 ビックリながらお母さんはしょんぼりしていた。 「お母さんさ朝来んとってって言ったやんマジでなんできたん?友達にも見られて恥ずかしかったしせめて服装くらいまともなやつ来たら?」 私はまたイライラして、次はお兄ちゃんに当たった。 「おいお前お母さんにそんな口の利き方はないやろ謝れよ」 「お兄ちゃん関係ないやん黙ってまじで」 兄弟喧嘩が始まりそうで、お母さんがあたふたしてた。 「あーもううるさいとりあえずもうご飯いらんからご馳走様」 私は、お母さんとお兄ちゃんの顔も見ないで、スマホ見を見ながら自分の部屋へ戻った。 1週間後 「みさきお母さんねみさきのためにね!」 「なに?今無理」 そんなことを言って、お母さんが言おうとしてたことを、どうせつまらないことだと思って、私は無理とゆってきた。 それでもお母さんは、いつも私に話しかけてきて、たわいもない話をしてきた。 でも私はスマホを触りながら聞き流していた。 数日後 受験も近いから、学校の放課後にある自習室に友達といっていた、そしたら急に先生に呼び出されて 「清水さん落ち着いて聞いてねお母さんが病院にいるらしいんだけどもうどうだか、、とりあえず病院まで先生の自転車使っていいですよ急いで」 「え?」 私は頭が空っぽになった。 自転車を漕いでる時私はお母さんが死んだらどうしようお母さんなんで病院に? 頭の中が初めてお母さんでいっぱいになった 病院について受付で 「清水!清水さちこ!どこですか!?」と押しかけるように言った。 そうすると、受付の人たちは顔を見合せて 「清水さんの娘さんですねあそこの…」 「みさき!」 お兄ちゃんの声がして振り向いた。私は涙で顔がグチャグチャだった 「お兄ちゃんお母さんは??」 私は涙を拭きながら言った 「こっち」 お兄ちゃんは私の手を取って、部屋に連れていってくれた。 連れてこられた部屋に入ると、そこだけ違う世界のように冷たく、寂しく、刑務所のような雰囲気な部屋だった。 真ん中には、手術用のベッドみたいな上にお母さんらしき人が、シートを被され横たわっていた。 「お母さん?」 私は周りの、警察官や、病院の人にシートを剥がされ、久しぶりにお母さんの顔をじっくり見た。 そこには、手が異常なほど潰れて、顔も原型がほぼ無いくらいにぐちゃぐちゃなお母さんがいた。 私は、逆に泣いていた涙が引っ込み頭が真っ白になって、ただただ潰れたお母さんの手を温めた。 周りの色んな人は暗い顔をしていて、泣いている人もいた。 お兄ちゃんは、私の前で泣いたことがなくて、初めは我慢していたけど、次第に、その部屋がお兄ちゃんの泣き声で埋まるくらい大きな声で泣いていた。 警察の話によると、居眠り運転のトラックに引かれたらしい。私のお母さんは、赤色のバッグを持っていて、その中に身分証や、私や兄の入学式の写真などが入っていたため、私の学校が分かったらしい。 赤色のバッグ。それは私が小5の時お母さんにあげた誕生日プレゼントまだ使っていたんだ。お母さんになんて興味が無かったからてっきりもう捨てたのかと思った。 お母さんは本当に私とお兄ちゃんが好きなんだと初めて感じた お母さん本当にごめんなさい。こんなに愛情たっぷりに育ててくれたのに期待に応えられなくてごめんなさい。 今日の朝、おはようも行ってきますも言えなかった。最後に言った言葉なんてもう覚えてないくらいお母さんと話すことに興味がなかった。 大切な人程すぐに亡くなる この言葉は本当だと思う。 今ある生活が当たり前じゃない。いつか糸のようにぷつっと切れて音もなく気配もなくただただ今の生活の人の心といろいろな感情が消えていく。 後悔する前に周りの人に毎日感謝を伝えて1日を大切に生きる そう決めた